田村 吉康TAMURA Yoshiyasu

1977年群馬県生まれ。プロのマンガ家として活動しながら、平行して絵画作品の制作も手掛け、2011年からは世界各地での絵画展示を開始。現在もヨーロッパやアメリカなどのアートフェアや個展を中心に国内外で幅広く活動しています。

イタリアのメディチ・リッカルディ宮殿での個展開催や、ロンドンのファッションブランド McQ Alexander McQueen へのデザイン提供、国内外のアートフェア・芸術祭への出展、主要な画材ブランドや美術雑誌から注目すべきアーティストとして選抜されており世界各地での講演やワークショップの開催など、そのパイオニアとしての歩みは様々な分野から注目されています。

■コメント

従来のNFTはイーサリウムなどパブリックブロックチェーンを介していたために美術品としてのデジタルデータを扱う際に美術とは無関係な手順が含まれ、経済活動としては抽象化しきれていないように見受けられ、積極的な導入に踏み切りませんでしたが、DC3コンテンツはそれらの問題を解決した、より抽象化された純粋な形でのソリューションです。

突き詰めればただの数字の羅列に過ぎないデジタルデータに、価値はあるのか? ……しかしそれは、突き詰めれば目や耳など人間の器官から入力される電気信号にしか過ぎない感覚に、価値はあるのか?という問いを同時に引き起こすでしょう。

まるで胡蝶の夢の故事のように。

発展した技術の果てに、古来と変わらない哲学的な問いが現れるのは興味深い事実です。
私がカンバスや絵具という物質による作品を作りつつ、同時にDC3コンテンツという形のデジタルデータを制作・提示することは、様々な分野で抽象(メタ)化が進む歴史からの要請を踏まえつつ、過去の巨匠たちの挑戦にも倣った、まさに現代美術としての活動の最新版と言えるはずです。